FS2002シーナリー雑感

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最終更新日時 2001.12.16
(不定期に書き換えます。)

FS2002がアメリカで発売され、日本でも輸入版が一部で入手できるようになりました。いろいろなところでレビューされていますが、ここでは例によって主にシーナリーに関してしかも変な角度から見てみたいと思います。

インストール

FS2002はCD-ROM 3枚からなっていますが、パッケージはかなり手抜きです。箱の中はすかすかですが、一番ひどいのがCD-ROMのケースです。ご覧のとおりいきなり紙の入れ物に直接CD-ROMが入る構造で、ビニールの袋すらありません。ただそれだけならまだしも、構造上CD-ROMの1枚目と2枚目は、出し入れするときにぶつかる構造になっていて、事実私の場合もCD-ROMの1枚目には、はじめから盤面に傷がありました。CDに傷がつきやすい紙ケースこのケースは全く信用できないので、購入後はすぐに自分でケース(または袋)を用意して入れ替えるべきです。日本市場ではこういうのは問題外なので、日本語版では多分まともなケースに入って発売されるのではと思いますが・・・
気を取り直してインストールします。作業そのものは順調でした。ただ、インストール後いきなり、今のビデオカードではハードウェア・アクセラレーションが効かないかもしれないがどうする?と聞かれました。"your own risk"でやるかと聞いてきます。いきなり起動前から your own risk と来るとびくっとしますね。飛行機に乗るのも命がけな今の時代を象徴しているかのようです。こちらのビデオカードは AOpen PA256MX platinum, ドライバのバージョンは Windows2000用の ver6.49 です。他のカードでこういうメッセージが出るものがあるかどうかは不明です。結局"my own risk"でハードウェア・アクセラレーション・オンでインストールしましたが、フルスクリーン・モード (Alt+Enter) にしなければ大丈夫です。フルスクリーンにすると、青画面になりWindows2000ごと落ちます。ビデオカードが古いとは思えませんが、前途多難です---mmm。
インストール終了後、いよいよ外に出てみますが、やはり Interactive Air Traffic Control はかっこいいです。いきなり英語で管制塔との交信が聞こえますし、雰囲気出ています。
と、普通はここからがレビューの本番ですが、例によって飛ばずにシーナリーを見てみます。

プラネタリウム

2001.8.15, 23:00 羽田空港
いきなりですが、これをご覧ください。2001.8.15, 23:00の羽田空港の滑走路からの風景です。もちろん実際には字は出ませんが、このように北斗七星です。α β γ ・・・の文字はおおぐま座の恒星の学名、数字は等級を書いてみたものです。 このように恒星の等級の差まではっきりと表現されています。ここまで来ると、空気が汚く光害も多い東京で、しかも自分の悪い視力で星を見るよりも遥かに本来の星空に近い風景がFS上で表現されているということです。さらに、ちゃんと星が日周運動で動きます。星の日周運動自体はFS2000でもありましたが、感動を呼ぶ程のクオリティはFS2002ならではと思います。まさにプラネタリウムです。FS上で全く飛行機の操縦をしなくても、このように天体観測と地上の風景が同時に見られるという機能だけをとってみても、これはすごいです。しかし全天が忠実なわけではなく、4等星で表現されているものがあったり、2等星でも無い物があったりするようです。
六本木から見た日没と富士山と三日月
これは、六本木から見た日没と富士山と三日月です。太陽と月の満ち欠けと夜空の星、そして富士山と丹沢の関係など、FS2000よりも高品位なFS2002ならではの風景です。
六本木から見た秋分の日の日の出
同じく六本木から見た秋分の日の日の出です。東京タワーや浜松町の世界貿易センター付近から太陽が昇ります。典型的な東京の風景です。このような東京タワーからの日の出や富士山への日の入りを一箇所で見られる場所は、六本木〜渋谷の高層ビルだけだと思います。昔東京にいらした方はこれを見てピンと来た方もおいででしょう。そうです。まさに今は亡き、渋谷の五島プラネタリウムの地平線に描かれていた風景がこの東京タワーと富士山でした。そういう意味でもFS2002は、懐かしいプラネタリウムの再現とも言えます。



Terrainシーナリー

デフォルト・シーナリーのレビューはよくありますので、ここではいきなり、村上さんの jterrain を元に私が改造した jt_auto を用いて作成した日本の Terrainシーナリー 「日本全国Terrainシーナリー詳細版」 のレビューをしたいと思います。
富士山
まずは何を置いても富士山ですが、これがFS2002での風景です。このようにFS2000に比べて遠景の再現性が格段に良くなっています。そして離れたところから見た山の風景としてのリアル感もFS2000より上です。ただ、FS2000に比べると、接近した場合の細かいぼこぼこした盛り上がりは少しゆるい印象で、さらに、富士山の近くに行ってから実際にTerrainシーナリーがぼこぼこと盛り上がり始めるまでのディレイ・タイムが長くなったという感じがします。(但し、時間については不明な点が多いです。上記のように私の場合の特殊条件として、ビデオカードのハードウェア・アクセラレーションがNGになっていたりしますので、本当はそんなに時間がかからないものなのかもしれません。)
FS2002はFS2000より軽くなったという話をよく聞きますが、この原因はTerrainシーナリーのぼこぼこの処理(サンプリング点間の補間処理?)を軽くしたからではないかと思います。
FS2000
これが比較のために出しましたFS2000での富士山頂のアップです。ぼこぼこが細かいのと遠景のテクスチャが今一なのがわかると思います。

利尻島
この表現力!遠くの礼文島といい、山肌の影の深みといい、FS2000を遥かにしのぎます。
FS2000
これが比較のために出しましたFS2000の利尻島です。当時は素晴らしいと思ったものですが、比較すると差は歴然です。

黒部湖
これもそうですね。山肌の深みと湖に落ちる山の影、湖の岸辺の表現・・・素晴らしいです。
FS2000
これが比較のために出しましたFS2000の黒部湖です。やはり差は歴然です。

このように、「日本全国Terrainシーナリー詳細版」はFS2002でも使用可能であるばかりか、FS2002でこそ真価を発揮すると言えると思います。

日本全国Terrainシーナリー詳細版の入手
「日本全国Terrainシーナリー詳細版」は、Atatanから発売していますが、容量が大きいためCD-ROMにて供給しています。詳しくはこちらからどうぞ。「日本全国Terrainシーナリー詳細版 ver 2.0」をリリースしました。下記の溝と穴の問題を解決した新バージョンです。

Japan Terrain Mesh Scenery
YOSIさんが、Japan Terrain Mesh Scenery を発表されました。LE版・ST版があり、ダウンロードできます。LE版は村上さんのと同じ詳細度、ST版はトワイライトエクスプレスの山岳シーナリーと同じ詳細度です。さらに素晴らしいことに、今まであった地獄へ落ちる穴を修正しておられ、目立った穴がなくなっています。当初あった位置ずれも、パッチのリリースにより完全になくなっています。

日本全国Terrainシーナリー詳細版の修正
上記の穴は長い間マイクロソフトの resampleソフトのバグと思われていましたが、偉大なことに、YOSIさんがそうではないことを初めて発見されました。こちらでも検証作業を行った結果、地獄の穴の修正に成功しました。修正前後の画像の比較はこちらからどうぞ。

日本Terrainシーナリ作成キット Ver 1.3
そして上記日本全国Terrainシーナリー詳細版の修正の翌日(と数日後)、村上さんが 日本Terrainシーナリ作成キット Ver 1.3 を発表されました。山岳部の溝と海岸線の穴の問題をツールの側から改善されています。とても速いお仕事でびっくりです。



ハワイシーナリー

やはり気になるハワイ。FS2000のときは、ここに書きましたように残念ながらTerrainシーナリーと既存のシーナリーは両立しませんでした。
オアフ島
FS2002デフォルトのハワイにも荒いTerrainデータが入っていますが、ダイアモンドヘッドなどは貧相です。ところが、Orlando Sotomayorさんが、オアフ島の30mメッシュシーナリーを発表されました。これは素晴らしいです。こちらからダウンロードできます。うさこさんのところからの情報で知りました。ありがとうございます。まあとにかくこれをご覧ください。 ダイアモンドヘッドの中のクレーターまでちゃんと出ています。Autogenの木や家のバランスもほどほどで良い感じです。FS2002ではTerrainと3Dオブジェクトが両方ともちゃんと見えます。
例によってまた飛ばずに、ワイキキビーチでお昼寝です。ダイアモンドヘッドの形も合格です。さらに、右下をご覧ください。なんと波しぶきが見えます。しかもFS2002上ではこれが実際に動きます。これがまたわざとらしくなくていい感じです。FS2002はついに環境ソフトを凌ぎました。この動く波を見ると確実にホノルルに行きたくなります。
ノースショアのサンセットビーチ。馬がいるんですよねあそこは。(注:FS上ではいません。)
個人的な話もう20年くらい行ってないですが、これを見るとすぐ行きたくなります。
サンセットビーチの日没。遠くにカウアイ島が見えます。太陽の海面反射と打ち寄せる波がたまりません。

いつのまにかレビューではなく単なるオアフ島観光になってしまいました。逆にいうとFS2002はプラネタリウムだけでなく(というか、本当はフライトシミュレーターなんですけど・・・)、観光ソフトにもなりつつあります。



シーナリー・テクスチャーの読み込み

単に時刻を変更しただけでもいちいちテクスチャーなどを読み直します。とてもうざいですが、オアフ島を見ると許せます。

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首都高などの表示状況

次に、私の作りましたFS2000用のシーナリーの表示状況を調べます。
東京交通シーナリーFS2000用MS版
羽田空港のそばの首都高は正常です。しかしフレームレートは2くらいです。(Celeron 1100MHz, RAM 512M の環境です。) 東京駅周辺の山手線を見ると、一気にフレームレートは体感で 0.05 くらいに下がります。(前にも書いたと思いますが、FS2000ではフレームレート表示の下限値は1.00です。FS2002も同様で、いくら遅くても表示上は1.00です。) 表示は、テクスチャーを黒で抜いた部分以外は正常です。ただ、とても重いので、表示がどうこう言う以前の問題があります。
東京交通シーナリーFS2000用TW2K版
まず、山手線の車輌が出ません。少々離れてみたときのテクスチャーの出方がおかしいです。これは私のシーナリーだけでなくトワイライトのシーナリーもそうです。更に、非常に重ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいです。体感フレームレートは 0.01、フリーズ状態です。全く実用にならないことは保証します???。上に書いたとおり、FS2002ではテレインメッシュの処理方法が変更になったと思われるためにTerrainはとても軽くなりましたが、普通の3Dのシーナリーの処理は全然速くなっていないようです。むしろ、Autogenなどをフルにオンにしておくと、その分処理が更に重くなります。このシーナリーに関しては、FS2000よりもFS2002の方が重いというのが現状です。
横浜シーナリー2000
これは完全に正常です。FS2000のときと全く変わりません。Autogenシーナリーとの合成が面白いです。なぜか横浜北西部よりも北東部の方が木が多いです。Autogenの木やビルが、川や道路の中に生えてしまうのはご愛嬌です。
花火大会(FS2000用)
これも正常です。ただ、高さの設定がなぜかFS2000の時よりも低くなります。FS2002のAutogenシーナリーとの相性が良いです。地上から花火を見るときに、近所の家やビルの脇から花火が見えるところなど、リアリティが増しています。
これは、神宮外苑花火大会です。新宿のビルをバックに花火が見えています。
花火 for ファイナル・アプローチ
これも正常です。やはり高さの設定がなぜかFS2000の時よりも低くなります。

このように、少々問題はあるものの、FS2000 と FS2002 との間ではシーナリーの互換性は比較的良いものと思われます。ただ、3Dオブジェクトを細かく作成するというアプローチは、重くなるのは避けられず問題がありそうです。そこそこでやめてFS98時代のクオリティのシーナリーに戻るのも今一だし、重いのを我慢して細かく作るというのも駄目だし、シーナリーに関しては岐路に立たされている感じがします。強いて言えば、FS2002の欠点はFS2000に比べて3Dオブジェクトの処理が全く改善されていない点であるとも言えます。マイクロソフトにその気がないからというのが回答なのでしょうか?アドオンを作るよりもデフォルトの Terrain + Autogen の方が良いという時代になってしまうと寂しい気はしますが・・・今後どうなるのでしょうか。


FS2002デフォルトの花火

FS2002になってから、はじめから花火がついています。有名なところではラスベガスの花火がありますが、他の都市にもついています。東京では、元旦の 0:00 から新宿中央公園で上がります。


これを使って花火シーナリーを作ってみました。左の絵はレインボーブリッジ付近での実験です。花火独特の雰囲気や動き、そして煙の表現など、さすがにMS純正のものはすばらしいです。自分で作ったものは到底及ばない品質です。まだ未定ですが、このFS2002花火を使ってまた世界の花火大会をつくるかもしれません。今度は前に比べて手間がかからず、作るのは楽そうです。


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